福祉CHIBA特集
この冊子は季刊誌で、千葉県社会福祉協議会が、無料で配布しています。
駅や公的機関など、ちょっとずつあるので、チェックしてみてください。
その中で、活躍する人物などにスポットを当てるコーナーで特集されました。
転載許可を取りましたので、掲載します。
(写真の一部はクリックすると大きくなります。)
福祉CHIBA・インデックス
写真提供:畑谷友幸(tomo)

★ 表紙
できないって誰が決めたの?
恋も仕事も、全部キラキラしたい
パワフル☆ネットアイドルあゆさんのヒミツとは…?
神奈川新聞社のデジタルメディア局ミッション・スペシャリストとして勤務するかたわら、マルチネットアイドルとしてモデル、ライター、ポエムニスト、イラストレーター、バンド活動と幅広く活動。ユニバーサルデザインアドバイザー、イベントのプロデュース、講演活動を行う。今年7月には、自身の恋愛をメインとしたフジテレビドキュメンタリ−番組「あゆの恋」でも紹介されるなど、そのパワフルな活躍を多くメディア媒体が注目する“すがやあゆみ”さん。そんな彼女にとって「障害はブランド」。「とにかくやってみる。諦めたらもったいないもん」と話してくれました。
★ Prologue
誰もが持つちょっとしたコンプレックスこそ
最大の武器にする!
パワフルなアイドル!周囲の人を爽快な気分にしてくれるあゆさんの生き方。そんなあゆさんの力強さの根底にあるものは、あふれるほどの優しさと生まれてきたことへの感謝の気持ちなのかもしれません。
★ カナロコ ミッション・スペシャリスト
現在、神奈川新聞社のデジタルメディア局カナロコ編集部でミッション・スペシャリストとして勤務するあゆさん。同社のウェブサイト「カナロコ」で福祉・ユニバーサルデザインコンテンツ「ゆにねっと」の企画・取材・デザインとサイトの運営全般を手掛けています。
「この会社に採用されるまでに30社くらい受けて、落ちまくりました」と笑うあゆさんは、先天性多発性関節拘縮症による両上肢機能全廃および四肢筋力低下という両手足の障害を持っています。「障害があることに甘えるなと育てられましたし、母子家庭の我が家を支えたくて、仕事をしたいと強く思っていました。
高校卒業後、県立重度障害者生活援護施設に1年半入所し、身辺自立訓練、職業訓練などを受け、市立リハビリテーションセンターで1年半の職業訓練を経て、横浜市地域作業所で雑貨販売員をしながら就職活動を行ってたそうです。
★ とりあえずやってみよ☆
神奈川新聞社の採用は、PC入力オペレーターとしてでした。ところが、たまたま当時の上司から「うちのサイトをどう思う?」と聞かれ、音声ブラウザ(視覚障害等の方が使える音声閲覧ソフト)にも配慮したサイト・コンテンツを提案。そういうアイディアが出せるならと「ゆにねっと」の誕生となりました。「できませんと言うのは嫌なんです」とあゆさん。何かをふってもらってるのなら、とりあえずは考えて、やってみようというのがあゆさんのポリシーです。サイトが立ち上がってから3年、サイトは幅広いコンテンツを揃え、より多くの人にアクセスしてもらうことが大切。「『ゆにねっと』はカナロコとしても非常に大きなメリットがある」と中嶌弘孝さん(デジタルメディア局カナロコ編集部部長)は話します。
★ チャンスは誰にだってある
千葉県では障害者差別を無くすための条例づくりを検討中(詳細は千葉県庁障害福祉課HP参照)ですが、あゆさんは実際に社会での差別という壁にぶつかることはないのでしょうか?と疑問をぶつけると「一番の差別は隔離をすること、知ろうとしないことや環境じゃないでしょうか。」社会に参加するチャンスは誰にでもあるはず、それを奪うことが差別であり、障害者だからできなくてしょうがない、そう考えることは自らで作り出す差別。そして、サポーターをきちんとつければ働くことができるようになる人がいる、在宅で情報発信できる人がいる、そういう人に「チャンスが平等にほしい」とあゆさんは続けました。「闘わずして負けるな!ですよ(笑)」きらきらと輝き、生きることの楽しさや希望を全身から放っているあゆさん。
★ 自慢できる彼女になりたい
ところで、あゆさんといえば、夏にフジテレビのドキュメンタリー番組「あゆの恋〜泣かないめげない くじけない」で放映された恋愛のその後が気になるところ。その時の恋のお話は著書でも触れられていますが、やはり恋は素晴しいと語ります。「私にとって、恋愛は原動力みたいなもの。車でいうとエンジンみたいに、何をするにも恋してなくちゃ、動かないんです」。恋愛をすると、やりたいことも、クリアしなければならないこともたくさん出てきます。外に出ること、電車に乗って会いに行くこと、プレゼントを買ったり、彼のためになにができるだろうかと考え実行すること…。恋は、チャレンジするパワーをくれます。おしゃれだってその中の一つ。「彼が私を連れて歩いた時に、一緒にいて恥ずかしい女の子より、おしゃれでオレの彼女センスいいだろって、自慢できるオンナノコになりたいんです」。彼が少しでも嬉しければ、私も嬉しいと話すあゆさんは、本当に“普通の女の子”でした。
★ 障害はブランド???
あゆさんの日常は仕事に加えて、取材を受けたり講演活動、イベント出演など表に出る活動や、知人に頼まれたサイト製作やメルマガ発行と、仕事だけではなく充実した多忙な日々。「医師からは、元気に歩いたりできるのはひとまず30才までだと言われています。だからそれまでは何でもやりたいし、突っ走っていこうかなって」。
そんなあゆさんが最近キャッチフレーズにしているのが「障害は私のブランド」という言葉。「誰にでも自分だけのブランドがあるはず」という気持ちから、コンプレックスこそ最大の武器になりやすいと語ります。障害があることはマイナスイメージに捉えられやすいけれど、あゆさんは、障害があったからこそ出会えた人、もの、出来事があるといいます。「障害による不便さもおしゃれを楽しむように工夫すれば、なんとかなるんです」。こういった角度を変えて物事を見る姿勢や、できないと諦めないで、できなかったらどうすればいいのか工夫し、探究を続けるあゆさんの姿は、多くの人にパワーと希望を与えているのではないでしょうか。自分を磨くこと、前進することを忘れないあゆさん。インタビューの最後に「恋も、仕事も人生も、諦めるなんてもったいない」と語ってくれました。