先天性多発性関節拘縮症とあゆのからだ 先天性多発性関節拘縮症って一体なに?

先天性多発性関節拘縮症(Arthrogryposis)〜胎児障害・発生障害

生まれる前に起こり、症状が段々悪くなることのない(非進行性の)手足(四肢)の関節の、関節を取り巻く袋(関節包)や、関節を構成する靭帯などの関節のまわりの柔らかい組織(軟部組織)が収縮したままになって伸びなくなったために関節の運動が制限される(拘縮)ことを特徴とする疾患を『関節拘縮症』と呼びます。 多発性とは、いくつかの関節が同時に冒されていることを言います。

一口に言うと、関節の筋肉が収縮したまま伸びない状態です。

それには、筋肉が原因のもの(筋原性)と神経が原因のもの(神経原性)とがあるとされていますが詳しいことは良く分かっていません。

曲がったまま伸びない(屈曲拘縮した)関節には翼状の皮膚が付いていることが多く、一般に知能は正常で冒されることがありません。

頻度は少ないのですが、小頭症や精神遅滞を合併ずるものや、腎臓に石灰が沈着したり、肝臓の障害のため高度の黄疸を合併して早期に死亡する報告されています。とはいえ、これらはそれぞれ異なった原因で起こったものであると推定されています。

四肢の障害のみだと出生一万人に0.3〜3人と言われています。多くは健康な家族の中に1人だけ単独に生まれ、環境要因で起ったものと考えられていますが、その原因ははっきりしていません。

先天性多発性関節拘縮症となると、さらに発症率は低くなり、発生頻度は、10万人に1人くらいとされています。

ネズミの胎児に、神経と筋肉の接合部を麻痺させる毒物を服用させて、同じような症状がおこることから、運動神経と骨格筋の接合部に何らかの物質が作用したものもあると考えられています。

早期からのリハビリテーションによる関節の矯正が効果的な場合もあります。通常は予後は良好で、マッサージ、副木やギプス固定による矯正、整形外科的手術が試みられています。